セルフヒーリング
- 「抵抗加熱を利用したセルフヒーリングCFRPの開発」
ポリマーを母材とする複合材料にとって,母材内部のき裂検知,修復は大きな課題である.母材に発生した微小き裂は速やかに成長し,さらにはき裂同士が結合することで層間のはく離を引き起こす.構造内部に発生したき裂は検知が困難であり,また修復するにはき裂周辺部を取り除かなければならないため大きなコストがかかる.そこで,母材内部き裂の簡便な修復方法,さらには構造物の維持コスト低減を目的として,自己修復機能を有した母材が注目されている.Chen (1) らはセルフヒーリング樹脂,Mendomerの自己修復性能を実証している.Mendomerの分離,結合は可逆反応であり,負荷により樹脂内にき裂が生じても加熱によって再結合できるのである.
本研究では,Mendomerを用いたCFRPの開発を目的とし,CFRPの導電性を利用した抵抗発熱による自己修復法を検討する.積層板表面に作成した電極から発熱に必要な電流量を印加することで,Mendomerの自己修復機能を確認する.まず,一般的なエポキシCFRPを用いて電流印加による構造加熱の有効性について検討した.続いて,エポキシCFRP基板上にMendomerを硬化し,三点曲げにより挿入したき裂の修復性能を確認した.
Fig. 抵抗加熱によるセルフヒーリング
Fig. 修復する様子
movie (mpg 1.1MB)高橋航圭, 日本複合材料学会,第32回複合材料シンポジウム, pp.75-76 (2007).
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